中絶

私と妻には子供はいません。が、妻は一度妊娠したことがあります。

それは結婚2年目のこと。作ろうと思って出来た子供ではなく、気がついたら妻が妊娠していたのです。(もちろん相手は私ですが)

 

 

当時、妻は今とは別の精神科に通院していて精神的には不安定な状態。また、結構な量の薬を服用していたので、子供ができたことに対しショックを受けていました。

苦渋の決断

妻はそんな感じでしたが、私は正直なところとても嬉しかったです。

自由気まますぎるほどに生きてきた自分にとっては、何かこう、一本の太い鉄棒が背中にビシッと入ったような感覚になり、やっと一人前の人間、そして父親になるんだなと実感しました。なんたって、新しい家族が増えるのですからね。

妊娠となれば、当然これから先のことを考えていかなければなりません。ただ、妻の口から出た言葉は「堕ろしたい」と言うものでした。

もちろん私は説得を試みましたが、妻の精神状態や当時の投薬状況を考えれば、「産んでくれ」と無理強いすることは出来るはずもなく、悩みに悩んだ末中絶という苦渋の決断を下すことになったのです。

 

 

中絶。さすがにこれはズシリとくるものがありました。

多分、それは妻も同じだったと思います。その証拠に、中絶の手術を終えた妻は麻酔から覚めてすぐに私にこう言ってくれました。

 

ごめんね……またワガママ言って

と。

アスペルガーな人は相手の気持ちが汲み取れないとよく囁かれますが、全く気持ちが解らないわけではありません。

当時はまだ妻がアスペルガーとは知らなかったのですが、自分の体調、身体のことで精一杯なはずなのに、その時はきちんと私の気持ちを汲み取ってくれました。

 

生まれてくる子供のことを考えれば……

あれから10年以上の月日が流れましたが、今改めて冷静に振り返ってみると、中絶という選択は間違っていなかったように思います。

もちろん倫理的にはNGなことかと思います。

でも、現に妻は障害で苦しんでいるわけですし、そんな中でまともな子育てができたのかと言われれば、答えはNOでしょう。

また、生まれてくる子供が何かしらの障害を抱えてしまう可能性は捨て切れませんし、もしそうだったとすれば子育てどころの話ではなくなっていたと思うからです。

もしかすると、妻は生まれてくる子供に対して一抹の不安を抱えていたのかもしれません、本能的に。だからあの時、「堕ろしたい」と口にしたのでしょう。

私達夫婦はあの当時のことを思い出す時、今もそんなようにして心を整理させています。

雑記帳

Posted by チャーリー